白夜行 著:東野圭吾 集英社文庫

愛することは「罪」なのか。それとも愛されることが「罪」なのか。
1973年、大阪の廃墟ビルで質屋を経営する男が一人殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りしてしまう。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んでいくことになるのだが、二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪の形跡。しかし、何も「証拠」はない。そして十九年の歳月が流れ……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。200万部突破!

 

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)

 

 

個人的に

 これまでこの作者の本を読んだことがなかったので、読んでみました。一番に思ったのは、人の目から書かれた話が幾重もあり、それらが集まり、紡がれたストーリであるという印象でした。しかもそのストーリには、話の軸となる二人が主観として出る話はなく、他の人の視点からでしか情報を得ることができない。だから、その正しい情報を得たいという思いが強くなり、ページをめくる手が止まらなくなってしまいました。

( ^^) _旦~~

 最初に注意を払ったのは、雪穂が警官に「きりはら」を知っているかと尋ねられた時に、唇を舐める様子でした。心理学では、ストレス負荷がかかった時にみられるしぐさだということでしたが、単なる癖ともとれてしまう。

 

<あたしの上には太陽なんかなかった。でも暗くなかった。太陽に変わるものがあったから。あたしはその光によって夜を昼と思って生きていくことができたの。私には最初から太陽なんてなかった。だから失う恐怖もないの。>