ふたつのしるし (20170515)

 

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

 

 

駅の本屋で見つけ、背表紙の要約が気になった本書。解説では二人を不器用だと書かれていたものの、私には不器用には思えなかった。クラスの多数に意見を合わせることや集団行動で皆に乱れないように動いていくこと、そこにいやらしさを感じていたことが二人の共通点だ。それでも二人はそれぞれの方法?で(道で)生きていく。

自分のやることに夢中になり、他の事に集中できないハルは、小学生のころ先生や他のクラスメートに疎まれていた。けれども、健太と話すようになってから無意識に行動の中に、指針ができたのではないかと思う。母が亡くなり、父親に対して、「どこかへ」と答えた時本人は答えを曖昧にしているけど、進路は見えていたのだと私は思う。

話の中には、アーチェリーの軌道の話がでてくる。テニスのスマッシュの五要素の話も良かったが、こちらは話も好きだがくだりもしかり。矢を放った瞬間に結果はもう出ている。的のどの部分に命中するかは、勝負は過去に決まっているのだ。それに対して、ハルは不確定要素(風)を引き合いにして、その話を無下にする。過去だけで決まるわけじゃない。これから風はいくらでも吹くだろう。そのように考えられるのは、いったい、いつまでなのだろうか。

個人的に

勘(瞬時に良しあしを見極める力)を磨いていくこと、大切にしたい。