生物と無生物のあいだ 講談社現代新書(20161011)

福岡伸一 著の「生物と無生物のあいだ」を読んだ。

本著から生物って何だろうということを改めて考えさせられた。それと同時に懐かしいことを思いだした。私は高校の生物の授業時に出張授業で、ある大学の先生が「生物とは何か」と質問したことを思い出した。当時は有機物か無機物かという極めて曖昧な答えしか出せなかった。

本著では生物とは何かを紐解いていくとともに、生物史における広がりを垣間見ることが出来る。例えばDNAと言えば二重らせんを発見したワトソンとクリックを思い浮かべることができる。DNAがヌクレオチドという単位で二重らせん構造していると発見していく道程が説明されており、発見に影響を与えたフランクリン女史が表に出れなかったのには残念に思う。

また研究者としての筆者の身の回りも読むことができる。ただそれまで研究者というと希望をもったイメージがものすごく強かったが、そうでもないと感じさせられる点があった。今はどうなっているかわからないが、助手、助教授、教授から成り、これはアメリカでも変わらないそうだ。だが、決定的な違いとしては、資金問題である。日本では助手になれば賃金が支払われるが、アメリカではポスドクだと必要な資金を集める所から始める必要があるということだ。また賃金のもらえる日本側でも助手が好きな研究を教授の下で絶対に出来るわけではない。あくまでも助手なのだ。好きなことをしてお金がもらえるかについて、側面を知ればそううまくいかないものだと感じた。