出口現代文講義の実況中継①・語学春秋社・出口汪

参考書ですが、単なる読み物としても面白いです

 超ロングセラー『NEW出口現代文講義の実況中継(1)~(3)をの新装版です。

第1巻は「小説・随筆の読解法」です。

現代文ほど成績の上がりやすい科目はない。そしてそこには一貫した方法があり,正しい方法で一定の訓練さえ積めば,誰でも高得点を取ることが可能である(はしがきより)

現代文は、センス・感覚で解くほかはなく、いくら勉強しても学習効果が得られるとは限らないというのが従来の常識でした。英語や、理科・社会なら、知識を詰め込めば、ある程度の点数が取れるが、現代文という教科はこの手が使えない。それならば、現代文にかける勉強時間を、英数に回した方が賢明だと、成績の上位者ほど考えがちでした。しかし本書は、現代文を論理の教科と位置づけ、それゆえ、センス・感覚ではなく、一貫した論理的方法で解けば誰でも高得点が取れると示した伝説の参考書です。

 

 

出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)

出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)

 

個人的に 

・本文から根拠を探す方法 = 土俵が同じ

・客観的に読んでいるという思い込みから脱却するために

・小論文とは意見から出発する試験

・本当に重要なことは同じ言葉では繰り返さない 

 ⇔ 形を変えて繰り返す

 

( ^^) _旦~~

 私が参考になったのは、言葉が氾濫している現代についての説明と小説の心情に関する説明文でした。言葉は事物を何一つとして表していないにも関わらず、名前が成立することによって、私たちはまるで言葉が本当にあるかのような錯覚を抱いてしまう。身近な例を挙げると、「食べるだけですぐ痩せる」といったキャッチコピーとか。消費者は、言葉だけを鵜呑みにして、商品の真実について確かめずにとりあえずやってみようと購入する。でも、キャッチコピーそのものは、消費者が買いたくなる言葉を当てはめており、商品の実態は表していない。わざわざ、売る商品に対してマイナスイメージの付く言葉は使ったりしない。だから、表に出る言葉は立派な言葉ばかり。その言葉に感動し、言葉がまるで本当のような気がしていく部分に言葉の恐怖があると思う(これは自分の意見)。

 言葉にだまされないために、真偽を確かめることが必要だと感じます。しかし、今は情報過多の時代。本当の言葉も嘘の言葉もあふれており、真実を見抜きにくい、最悪確認すらしないことがあります。けれども、知識があれば(関連した)、必要な情報とそうでない情報を分別することが容易になります。言葉が氾濫している今こそ、本当の知識が求められているのだと理解しました。