公務の仕事を民間と競争させると何が問題で何が課題なのか?
T.パースンズとならんでアメリカ社会学理論の最高峰に立つ著者の主著である。第一部の「社会理論」では、従来社会学界で見られた“無計画な経験主義”的傾向をもつ社会調査と、他方における壮大な、しかし検証不能な抽象的一般理論を批判しながら、“中範囲Middle rangeの理論”の必要を提示して、社会理論と社会調査の綜合を構想する。しかも著者は、その分析の範例を提示しているのである。またここでは併せて、社会学・社会人類学・社会心理学の関係も明示され、研究者に有益な示唆を与えよう。第二部では現代社会の典型事例である、アノミー・官僚機構・準拠集団・パーソナル・インフルエンスなどの分析を試み、デュルケム、ウェーバーらの遺産を継承しつつ“知識における累積”のみごとな実例を示す。第三部「知識社会学とマスコミュニケーション」第四部「科学の社会学」はともに社会とイデオロギーの関係を扱い、“思想の経験的分析”の道を拓いた。豊かな知識、構想の巧みさ、鋭い観察―本書は読者の思考にimaginationとcreationの刺戟を与えずにはいないだろう。
- 作者: ロバート・K.マートン,Robert King Merton,森東吾,森好夫,金沢実,中島竜太郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1961/09/11
- メディア: 単行本
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個人的な拾い読み(本編の官僚制の逆機能がメインです)
・社会における道徳的評価は一般に行われている評価とは一致しない。
⇒ 前者はある慣行や規範の※潜在的結果の観点から評価される傾向があるため。
・政治的ボス組織の機能を十分に秤量するために重要なのは、①援助があるかどうか、②援助の方法
・企業集団が現在の状況を安定化し、最大の利潤獲得の目的に近づきうるような特別な政治的供与を求める。
・ある社会構造がどうしてその社会の人々に同調的行動よりも非同調行動をとらせるのか?<Edward Sapir>
本編
・ビューロクラシー(官僚制)の構造とパースナリティ(マックスウェーバーが多くの点で古典的分析を行った)
→ 官僚制の部署には組織の規模を縮小させる内部攪拌的な要因が存しないために、在職期間が終生にわたる場合が多い。(例:公務員は安定職であること)
→ 最大限の職業保障が与えられ、安定して職務の遂行に努められる。
官僚制の長所
・技術的効率、正確さ、統一性、連続
→ これらは個人的な関係や非合理的配慮(敵意等の感情)を排除しているに近い
官僚制の短所(Veblenの「訓練された無能力」やDeweyの「職業的精神異常」の観念などがきっかけになり、消極面が研究され始めた。)
★規律が官僚制の中の人々の生活設計において直接的な価値を持ち始める
→ 融通がきかない、適応能力に欠ける、形式主義化、儀礼主義化
⇒ 規則順守第一になり、加速すると、組織の目標達成が妨害される!!(=目標の転移と呼ばれる。ちゅい店が組織の目的から離れて、規則を守ることが一つの手段でなく、目的に変わってしまった…)
なぜ官僚内の同調圧力が過剰になってしまったのか?(三点)
・反応の信頼性、規則順守の絶対
・規則以外にイレギュラーな要素があると、臨機応変に対応できないこと
・昇任、昇給が保証されており、それが規定をよく守らせようと却ってはたらいてしまっていること Etc
人間関係の非人格化
職員は人格的な関係は極力抑え、規律に訴えるため、個々のケースがもつ特殊性がたびたび無視される点。(→企業なら仕事を独占できないので問題を最小限に止められる。)
⇒ 顧客にとって横柄に感じることがある。しかも、仕事が独占的であること。
→ 人民の公僕でありつつ、立場が逆転している!!
人格的な扱いをすると…
⇒ 汚職、えこひいきに繋がる…。
「官僚制の逆機能」をもっと知りたい方へ
http://note.masm.jp/%B4%B1%CE%BD%C0%A9%A4%CE%B5%D5%B5%A1%C7%BD/
( ^^) _旦~~
「人々は不適当な適当さの中で適当していることによって、不適当なこともある。」訓練が却って逆効果、妨げになる場合もある。
<職業が人間の運命観にどんな影響を与えるかこれを知りたくない者はいない。しかし、例えば事務員は神の創造した自然を書類棚に整理し、ブローカーは物自体を不動産だと考えるだろうか>
※(潜在的)機能
→道徳的判断の基礎となる潜在的結果ろ同一の仕方で作用しないため