「ねえ、私、生れてから一度も〈怖い〉と思ったことがないの。あなたのお話で、私に〈怖い〉ってどんなものか教えて下さいな」――。ある作家は哀切と戦慄が交錯する一瞬を捉え、またある作家は「予感」でがんじがらめにする秘術を繰り出した。そしてまたある作家は、此岸と彼岸をたゆたうが如き朧な物語を紡ぎ出した……。当代きっての怪異譚の語り部が腕によりをかけて作り上げた恐怖七景。
この本を最後に読んだのが八年前にあたるので、まあまあ久しぶりである。題名通り、怪異譚の語り部が腕によりをかけて作られた短編集の数々である。夜中に読むと、寝られないような怖さはないと思うが、それもまた興があるという感じでお読みください。
個人的に
気になった作品は「安義橋の鬼、人を喰らふ語」 著 夢枕 獏 である。
江戸時代に、やんちゃで意地っ張りな若者が、宴会で安義橋に鬼が出て、しかも人を食うという噂を聞き、実際に橋に行って確かめに行く話だ。
安義橋(あぎばし)というのは、滋賀県近江八幡市に実際にある橋で、平安時代には鬼が出ると噂されていた橋だそうだ。そして本作品は、今昔物語にある「近江国安義橋鬼人噉(喰)語」のリメイクした作品だ。
( ^^) _旦~~
江戸時代でも噂話は好きな人が多かったのだろうか…